バイアスというのは直訳で「偏り」という意味で、ビジネスや投資でバイアスという使い方は
「偏った考え方」、「思考の癖」、「思い込み」
と言えます。
バイアスは投資で勝つために重要な要素になります。
投資では心理的な要因も十分あるので、バイアスについて知るってことは初心者でも上級者でも必要。
Contents
バイアスは負けないために知るべき
FXのようなプレッシャーがかかる投資だとバイアスが顕著になります。
なのでバイアスが悪い方向へかかると投資で負けてしまいます。
またバイアスは自分で気付くことはとても難しい。
そこでどのようなバイアスがあるのか知りそういった思考の癖に、ならないようにしないといけません。
「無意識のうちにこのような行動をしているのか」と気に留めるだけでも、メンタルが安定して投資に勝つことができます。
ここでは投資で重要な10個のバイアスを紹介しバイアスの罠にかからないために、どうすべきかお伝えできます。
バイアスは人間の本質にある心理状態です。
心理状態を理解することで、投資で勝てるようになるわけではありません。
しかし認知バイアスを知ると負けない行動ができるようになります。
勝つためではなく「負けないために知っておく」べき知識です。
何をやっても勝てない方はもしかしたら認知バイアスの罠にはまっていたのかもしれません。
認知バイアスがあなたの足にしがみつき、負けさせようと引きずり込んでいるのです。
無意識のうちに成功を邪魔するものだったかもしれません。
しかしその存在に気づくことで、今までのように負けが少なくなります。
「自分は客観的に相場を観察しているから大丈夫だよ」という方はバイアスに引っかかってしまいます。
常に自分は客観的ではないとおもわなければ、バイアスに引っかかります。
では、今トレードで勝てないのはなぜでしょうか?
もし思考のクセがなければ、すでにトレードで成功している。
それが出来ていないということは、少なからずバイアスの罠にはまっている可能性がある。
まずは、バイアスを知ることが重要。
そうすればバイアスにはまらないように気を付けることができる。
1.プロスペクト理論
プロスペクト理論は人間が損をしないように、選択肢を選ぶということ。
FXトレードにおいては損切りをできなくし、利確を早めてしまうという効果です。
利益は早く確定させたいが、含み損を抱えた場合に目を背けてしまう傾向。
そのため"損大利小"ができあがり、損失を膨大に膨らませてしまい利益は限りなく少ないので損益は大きなマイナスになります。
いわゆる"コツコツドカン"現象はこのプロスペクト理論が大きく関わっているということです。
2.確証バイアス
ある情報を自分に都合の良い情報だけを集めようとする心理状態を確証バイアスと言う。
たとえばドル円を買いたいと思ったとき、上がれば利益下がれば損失。
人はこのようなときに上がる情報だけを探し下がる情報を目にしても受け入れないようにする。
またポジションを持ってドル円が下がり始めても、損切りできずこれから上がり始める情報だけを探すようになる。
損切りしたあとかりにドル円が上昇してしまうと「損切りしなければよかった」という状況。
そのため、「損切りせずにホールドしている方が正しい」という情報だけを受け入れようとし、客観的な判断ができなる。
これは、大損する行動。
決めていた損切りポイントに到達したら、状況に関わりなく必ず損切りしてください。
損切りしなければ良かったと思うならまた入り直せばいい。
一度損切りしてノーポジションにしておけば、ポジションを持っているときに情報を集めるより客観的に相場を見られるはず。
3. バイアスの盲点(バイアス死角)
他人のバイアスに気付くこと専門偏向。
専門偏向とは得意とする分野だけで判断しようし視野が狭くなることです。
自分が専門としている領域についてはとても詳しく、さまざまな見解を示すことができます。
しかし他の視点を取り入れることができず、偏った判断をする思考のクセです。
専門的な知識を持っている金融アナリストが自分の予測こそ正しい、と考えてしまうのが専門偏向の例です。
また移動平均線を使ったテクニカル分析を得意とするトレーダーが、移動平均線だけで相場を分析する場合です(これは私のこと)。
相場では無数の分析方法があるにもかかわらず、得意なツールだけで判断しようとして結果的に視野の狭い戦略になってます。
自信を持つのは良いことですが、視野が狭くならないように。
4.サンクコスト
すでに支払ってしまった投資(時間的・経済的・労力的)に対して回収が困難になってしまい、
正常な意思決定ができなくなった状態のことです。
FXトレードにおいてエントリーしてポジションを持った状態が、「投資をした状態」です。
ポジションを持った後に逆行して含み損を抱えてしまい、本来なら損切りしなければいけないラインまで来ましたが、決断を邪魔してくる思考があります。
含み損を抱えたポジションを決済するのはもったいないと考えてしまい、損切りができない原因の1つになります。
これが"サンクコスト効果"による損切りができない理由です。
5.情報バイアス
情報バイアスとはある情報に対して違う解釈をしてしまい、偏った結果が出てしまうことです。
情報から下した自分の解釈こそ正しい、と思い込んでしまう。
同じ情報を見てもトレーダーによっては買い材料、別のトレーダーによっては売り材料になります。
買いを推奨するトレーダーが多ければ、上がると思い込んでしまいますよね。
情報が多い方が、正しいと判断しがちです。
しかし、あなたが見ている情報こそ偏っている可能性があります。
多くの情報を取り入れると安心感を覚えますが、情報過多は逆に誤った判断に導くかも。
トレードで勝つには情報の量は関係ありません。
今はSNSやブログなど大量の情報を無料で得ることができます。
相場は不確実性の世界なので解釈の仕方により正しくもあり間違いにもななります。
情報が多いほど有利になるものだと思いがちです。
しかし情報が多いために迷いや混乱を引き起こしている可能性があります。
インターネットを見まくっているのに勝てないという方は注意してください。
5.正常性バイアス
正常性バイアスとは、ちょっとした異常事態が起きても、正常の範囲内だと判断し、「今回も大丈夫だろう」とリスクを過小評価してしまうことだ。
相場において、暴落はめったに起こりません。
コロナショックやアップルショックなど混乱するほど暴落するのは、年に1回あるか無いかかなり少ないです。
普段の相場では、ほとんどの場合、急落しても元に戻ります。
そのため、ちょっと下落しても「どうせ今回も戻るでしょ」と考えてしまいます。
特にポジションを持っている場合、損失を確定させたくない気持ちと「まだ大丈夫だろう」という正常性バイアスが絡み合い、急激に悪い状況になります。
異常事態は突然起こるので適切かつ迅速に対応できるトレーダーは、少ないのではないでしょうか。
自分は大丈夫だと思い込みはせず、注意する謙虚な気持ちを持ちましょう。
6. 自制バイアス
自制バイアスとは、自制心を過信してしまいます。
自分なら感情や欲望をうまくコントロールできるので、失敗はしないだろうという考えです。次のように思ったことは無いか?
- 自分なら大丈夫
- 本気を出せば勝てるようになる
- 今回だけは特別
これは、まぎれもなく自制バイアスです。
しかし、現実を先延ばしにしているだけで、結局は自制心をコントロールできないのと同じです。
損切りしないで戻るのを待つ、負けを受け入れないなど、自制バイアスはいろいろな場面で現れます。
お金を前にすると、自制心はコントロールできないものだと認識しておきましょう。
7. 信念バイアス
ある結果が出たとき、「その結果を出すまでのプロセスまで正しい」、そう思い込むのが信念バイアスです。
相場は、上がるか下がるかのどちらかしかありません。
適当にトレードしても、数回やれば勝てるのがFX。
たとえまぐれで勝ったとしても、「自分の分析が正しかった」と、プロセスまで正当化する思考のクセのことを指します。
結果が出たからプロセスも正しいのではなく、プロセスが正しいから結果がついてくるのです。
逆に、プロセスは正しくても、タイミングがちょっとずれれば、負けトレードになるかも。
負けたからといって、プロセスも間違っているとは限りません。
適切な損切りを行ない、大損を防いだかもしれません。
トレードは結果が全てですが、プロセスが正しいことが大前提であることは、忘れないでください。
その1回のトレードの勝敗がどうであれ、正しいプロセスをふんでいたかが重要ということです。
8.後知恵バイアス
相場が動いた後に、「そうなると思った」と、あたかも予測できていたかのように考えてしまうのが、後知恵バイアス。
ドル円が上がると思っていたにもかかわらず、損するリスクも捨てきれず、ロングできなかったとします。
この後、ドル円が上がると、「やっぱり上がった」と思います。
これが後知恵バイアスです。
実際には、ロングしなかった理由があります。
また、ドル円が下げたとしても、「やっぱりロングしなくて正解だった」と、自分の判断が正しかったと思い込んでしまいます。
上げても下げても、自分こそ正しいと考える傾向があります。
9. アンカリング
アンカリングとは、何かを判断するとき、先に認識している数字や情報が強く印象に残り、それを基準に決めてしまうことです。
無意識のうちに基準を作ることで、偏った判断を引き起こします。
たとえば、ドル円が108.00円という高値を付け、その後、100pips下落して107.00円になります。
このとき、108.00円が高値だったという印象が残っていると、「100pipsも下げたからそろそろ上げるだろう」「108.00円よりも安くなった」という根拠の無い値ごろ感を持っています。
もし、108.00円の高値を知らなければ、「107.00円が安いから買おう」という気持ちにはならないはずです。
106.00円から比べると、100pipsも高いことになります。
つまり、先に認識した108.00円という情報が基準となり、その後の判断を下しているということです。
通貨ペアの価格は、高すぎる、安すぎるというものはなく、その時点で適切な価格を刻んでいます。
価格は常に正しく、あるトレーダーから見たら高すぎても、他のトレーダーから見たら安いかもしれません。
値ごろ感は、アンカリングの影響を受けているので、注意が必要です。
10. 可用性ヒューリスティック
ヒューリスティックとは、「直感」「経験則」と考えて良いでしょう。
可用性ヒューリスティックは、意思決定するとき、論理的に答えを導くのではなく、直感や経験則など「思い出しやすい情報」をもとに全体を判断する思考のクセです。
たとえば、チャートを見ているとき、よく使うチャート形状や直近の値動きなど、「思い出せるパターン」と重ね合わせます。
「このパターンは上がりやすい」
「経験上ココから下がりやすい」
と判断し、トレードする傾向になります。
思い出せるパターンの数が多ければ良いのですが、ビギナーだと知識もなく、認識できるパターンがありません。
最初に覚えたやり方でトレードしてしまい、それがFXの全てだと感じてしまいます。
狭い視野でトレードすることになるので、注意が必要です。
「自分はまだまだ知らないことばかりだ」という学ぶ姿勢を持ちましょう。
また、経験則を活かすには、トレードから学んでいきます。
引き出しの数を増やし、自分だけの勝ちパターン(引き出しの使い方)を構築していきましょう。
バイアスに引っかからないようにするには
これまで11個のバイアスを紹介しましたが、バイアスに引っかからないようにするのは結論無理です。
ただ、引っかかりを軽くするようにすることは出来ます。
ここではバイアスに引っかからにようにする為の行動を2つ紹介していく。
1.取引するルールを作る
1つ目は、「何事にもルールを決める」ことです。
認知バイアスにはまってしまう理由は、ルールがないからです。
ルールが無いと感情のおもむくまま行動するようになり、無意識のうちにバイアスがかかってしまいます。
そうならないよう、意識的にルールを決めるのがおすすめです。
FXにおけるルールは、トレード手法だけではありません。たとえば、次のようなことがある。
- 資金管理に関すること
- 取り組み方に関すること
- 勉強のやり方に関すること
- ファンダメンタル分析に関すること
- 使うテクニカルツール
- 取引時間の決め方
- 検証のルール
- 利幅と損切り幅のルール
- 情報の仕入れ方
最初から全てを決めることは難しいので、できることから決めていこう。
ちなみに私は、トレード手法も何もない初心者の頃は、
「勉強してインプットだけは進めよう」
という心構えがあった。
- 毎日1時間は本を読むこと
- 毎日1時間はチャートを見て値動きを考察すること
何をやっていいのか分からないので、最低限これくらいは取り組もうという目標です。
認知バイアスは知らないままでしたが、高望みしない実践可能なルールを決めたことが、上達につながったと思う。
2.認知バイアスがあると知ること
一つ目は、バイアスについて勉強することです。
「バイアスがあると知るだけで大きな習得になる」のです。
私がFXを始めた頃は、バイアスがあるとは知りません。
勝てるトレード手法があればそれだけで稼げると思っていたので、心理的なことを勉強する意識が全くありませんでした。
もしかしたらあなたも同じではないでしょうか。
しかしFXは資産の変動が大きく、メンタルの浮き沈みも自ずと激しくなります。
メンタルの状態によって認知バイアスがあらわになり、それが成功を妨げている可能性があると知っておくべきです。
ただ、認知バイアスに対して何か対策をする必要はなく、知ることが大きな一歩になります。